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第6回 FCJのタイヤ戦略(1)

[2007/09/13]

入門カテゴリーならではの特性&レギュレーション
タイミングモニターを見守るダンロップFCJ担当・梶本源二氏。

 富士スピードウェイで行なわれた第2イベントの公式予選で、1回目には中段に沈んでいた中嶋大祐が、2回目の予選ではポールポジションを獲得した。実はこのとき、インターバルの間に中嶋はタイヤの空気圧の設定を若干変更していた。誤解を避けるために付け加えるならば、空気圧の変更によってマシンのスピードが変わったわけではない。中嶋の言葉を借りれば、「内圧を変えたことが速くなった直接の理由ではなくて、後でロガーを見てみたら、予選2回目の内圧のときには、速い人のしている上手な乗り方が自然にできていました」ということだ。

 

 レギュレーションによってセッティング変更が許されていないFCJにおいては、タイヤの空気圧がドライバーの判断で変更することができる唯一の要素(走行中にドライバー自身が調節できるブレーキバランスを除く)である。成長途上にある若いドライバーにとっては、空気圧のわずかな変化でマシンのバランスが少し変わるだけでも、このような飛躍のきっかけになることもあるのだ。考えてみれば、タイヤは路面に一番近いところに接して働いている部分であり、マシンの中では重要な役割を担う大きな要素である。そこで今回は、FCJで使用されているタイヤと、空気圧の調整についてを掘り下げてみたい。

 

 前回セッティングの項で触れたように、FCJはドライビングスキルの向上を主目的とし、イコールコンディションの保持に努めている。そのため、本来であれば空気圧も全車を同一にすべきと考えられるが、27台が走行する状況でタイヤの内圧をすべて完璧にコントロールすることは現実的ではないため、調節して良いことになっている。ただし、そうした条件下でもできるだけドライビングの練習に影響を与えず、なおかつイコールコンディションが保たれるよう、調整できる空気圧の数値には一定の基準(ドライ、レインともに冷間時1.1kg/c・以上、温間時1.4kg/c・以上)が定められている。

 

 さらに、FCJで使用されているタイヤそのものも、技術が未熟なドライバーのために、一般のフォーミュラカーレースで使用されているタイヤとは異なる特性になっている。では、そもそもFCJで使用されているタイヤはどんな特性を持つのか、FCJのワンメイクタイヤを開発しているダンロップ社のFCJ担当・梶本源二氏にお話をうかがってみた。

 

「一般的にフォーミュラカーで使われている柔らかさのタイヤは、グリップの高さを曲線のグラフにした場合、ピークがハッキリしていて落ちるのも早く、ライフが短い形になっています。このような特性ですと、一度ちょっとしたドライビングミスなどをしてタイヤを傷めただけで、まったくタイムを出せなくなってしまうこともあります。その点FCJのタイヤは、未熟なドライビング技術でもいろいろな走り方を試せるように、またなるべく最後までレースを戦えるようにというFCJ事務局からのご要望にお応えして、常に安定したタイムが出てライフも長いというところを目指して開発されています。グラフの曲線でいえば、グリップがゆっくりと高くなって、そのままなだらかな曲線である程度のグリップが保たれるような特性になっています」(梶本氏)

 

マシンがピットインすれば、必ずタイヤ表面温度をチェックする。

 つまり、経験の少ない未熟なドライバーでも、失敗を何度も繰り返しながら思い切り練習することができ、そして決勝レースでも磨耗が進み過ぎず、無事にゴールまで走りきれるようにと考慮されているのだ。ちなみに、ライフが長いという特性はシーズン全体のタイヤ使用量の節約にもつながり、コストを抑えるという一石二鳥の効果も生み出している。

 

 現在のレギュレーションでは、1イベントにつきドライタイヤとレインタイヤ各2セットずつを使用することができるが、土日の公式予選と2回の決勝レースについては1セットのみ使用と定められている。土日を1セットに制限する理由としては、練習走行では走行せずにタイヤを温存し、その分を土日に回すといった作戦を講じるよりは、与えられた走行時間を最大限に利用してドライビングの練習をしてほしいという、入門カテゴリーならではの心遣いである

 

 

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