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第5回 セッティング固定のポリシー(1)

[2007/08/01]

ドライビングスキル向上という目的が第一

イコールコンディションに保たれ、全員が同じ条件で戦う。 

 ドライバーの育成を目的とするFCJの趣旨は、速いドライバーを育てたい、そして速いドライバーを見つけたい、というところにある。つまり、レースで決着をつけるだけではなく、ドライバーの腕を見定めドライビングスキルを向上させることに大きな目的が置かれているのだ。そのため、マシンはイコールコンディションに保たれ、セッティングの変更も許されていない。マシンに性能差があってはドライバーの腕を比較することが難しくなるからだ。

 

 ただし、タイヤの空気圧だけは調整を許可されている。ドライバーの中には「どうせなら、内圧も一緒にすればいいのにと思う」という意見を持つ者もおり、本来はそれが理想であると考えられるが、常に全車の空気圧を一定に保つためには、全員に何度もピットインをさせて確認するなど手間がかかりすぎ、現実的ではない。そのため、空気圧だけは一定の範囲内で変更してよいことになっているのである。

 

 さて、一切のセッティング変更が許されないというFCJの厳密なルールには、大きく分けて2点の理念がある。

 

 まずひとつは、カテゴリーのシステム上の問題である。セッティングを自由に変更できると、ドライバーそっちのけで担当ガレージ間の技術競争が始まってしまうからなのだ。


  FCJは他の入門カテゴリーやミドルフォーミュラと違い、チーム毎がエントラントになっているわけではなく、運営事務局がマシンを一括管理してイコールコンディションを保っている。当然、チームポイントもなく、純粋にドライバーだけの勝負である。

 

 ところが、どうしてもガレージ単位で「うちのドライバーを勝たせたい」という競争原理が働くものだ。それ自体は悪いことではないが、もしもセッティングを自由に変更できるとなると、マシンをうまく仕上げることにスタッフの熱意が必要以上に傾く可能性もある。そして、ドライバーはただ、仕上げてもらったマシンに乗るだけ……という状態になれば、ドライバーの育成、ドライビングスキルの向上というカテゴリーの第一目的から、大きく外れてしまう。

 

 もうひとつの理念は、ドライバーが自らのドライビングスキルを高める作業に、できるだけ集中できるようにしようというものだ。


  これまでもこのコーナーでお伝えしているように、ロガーシステムや現役ドライバーのアドバイザーを活用しながら、ドライバーたちは「いかにして速くなるか」、自分磨きに取り組んでいる。そこで、もしセッティング変更をいろいろ施した状態で競ってしまえば、考えなければならない要素が飛躍的に増えてしまう。

 

 自分は何が悪くて遅いのか、相手は何がよくて速いのか。走り方なのかマシンの何らかの設定なのか、探し出すべきポイントが無数に増えてしまうのだ。まだ経験の浅いドライバーにとって、これは混乱の元にしかならない。

 

 

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